Search

新NISAで利点大きい高配当株 個人投資家も大注目 - 日本経済新聞

新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まった。それを使って株式投資を始める個人投資家の人気を集めると予想されているのが、高配当株と株主優待株だ。この連載では、新NISA元年に高配当・優待株投資を展開する上で有効な戦略や注目銘柄を探っていく。その手始めに投資の基本をおさらいしよう。

「新NISAの開始を機に、それで投資したい株のアンケートを個人投資家に実施すると、上位に挙がるのは高配当株ばかりだ」。あるネット証券の関係者はこう漏らす。

保有中に得られる配当金が投資意欲につながり、高利回り株が注目を集めているようだ。実際に2024年の大発会は、日経平均株価が前営業日比で一時700円超下げたが、その後は配当株が物色されて値を戻していった。

還元強化は長期で続く流れ

22年以降、増配や自社株買いを実施する企業の株が個人投資家の人気を集めてきた。銘柄によっては10年来高値を更新する例もあり、配当株人気はピークにあると懸念する声も出ている。

だが三井住友DSアセットマネジメントのファンドマネジャー、木村忠央さんは 「株主還元拡大の流れは一過性のものではない。日本の株式市場は歴史的な転換点にある」と説く。

次のグラフは国内の証券取引所に上場している全銘柄の配当総額と配当性向の推移を示したものだ(赤字決算の年度の配当性向は表示していない)。配当総額の推移を見ると、増え始めたのは12〜13年、アベノミクスの初期だと分かる。

14年には安倍晋三政権が成長戦略に「コーポレートガバナンス・コード」を盛り込み、企業間の株の持ち合い縮小を促した。その結果、政策保有株が市場に放出され、機関投資家や個人投資家が保有するようになった。多くの上場企業で株主の構成が大きく変わり、株主還元への圧力は高まった。そして増配や自社株買いへと企業は動き始めた。

「企業が保有する現預金は過去最高レベルにあり、還元拡大はこれからも続く」と木村さんは見る。

足元では2つの追い風も

上場企業のPBR(株価純資産倍率)の1倍割れなどの是正を目指す東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営」を要請していることもあり、上場企業は株主還元の拡大を意識せざるを得ない状況にある。

始まったばかりの新NISAも、配当株投資には追い風だ。冒頭のように個人投資家の耳目が配当株に集まっているからである。

24年にますます投資家の関心を集めること間違いなしの配当株投資。優待株投資と合わせて24年に必要な投資戦略を連載で掘り下げていく。まずは銘柄選びの基礎知識を、スゴ腕の個人投資家に解説してもらった。

高配当株では連続増配のチェックも

配当株を選ぶ際に重要なポイントは何か。一定数以上の株を保有する投資家は年に1〜2回、配当を受け取る。配当には普通配当のほか、記念配当、特別配当がある。後の2つは投資家には思わぬ収入になるが、注意も必要だ。

「記念配当や特別配当が出ると注目されて株価が上がることもあるが、あくまで一過性のもの。普通配当に着目して銘柄を選定することが大切」。投資勉強会「Kabu Berry」を主宰するyamaさん(ハンドルネーム)はこう指摘する。

企業が配当で株主にどれだけ利益を還元するつもりか。その姿勢を知るには「配当性向」をチェックする。その上で、スゴ腕の個人投資家で、株式投資の情報サイト「やさしい株のはじめ方」を運営するライフパートナーズの代表を務める竹内弘樹さんは連続増配の有無を重視していると明かす。

「増配が続く企業は株主還元に積極的だったり、事業が好調だったりする。企業が過去にどう配当を出してきたか、その推移をチェックしたい」(竹内さん)

目先の収入に踊らされたり、期待が外れてがっかりしたりといった事態を防ぐため、配当・優待株の基礎知識をしっかり習得して準備したい。

優待投資では、利回りばかりに目を奪われない

株主の特典として商品や金券をもらえる株主優待は、個人投資家に根強い人気がある。ここでは優待株を選ぶ際のポイントを解説する。

まず知っておきたいのが「優待利回り」だ。優待の価値を示す指標で、優待株を選ぶ時の目安になる。しかし、優待利回りばかりに目を奪われないようにしたい。「○○円相当と説明される優待の場合、商品が届くと金額に見合う価値を感じられないという声を聞くことがある。優待利回りや金額だけで判断せず、自分がもらってうれしい優待を選ぶことが大切」とyamaさんは話す。

優待で注意したいのは、優待の内容が縮小されたり、優待そのものが廃止されたりするケースがある点だ。「業績不振などの理由で、優待が廃止されることは珍しくない」と竹内さんは言う。優待株を選ぶ際には、金額や優待利回りだけでなく、業績の動向も見て判断したい。連載の2回目(22日公開予定)は、配当株投資で有望株を探すコツをスゴ腕の投資家たちに解説してもらう。

(佐藤由紀子、太田憲一郎)

[日経マネー2024年3月号の記事を再構成]

【関連記事】

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細
https://ift.tt/UDqe6fZ
ビジネス

Bagikan Berita Ini

0 Response to "新NISAで利点大きい高配当株 個人投資家も大注目 - 日本経済新聞"

コメントを投稿

Powered by Blogger.