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物価高に負けない賃上げは「社会的責務」、鍵は価格転嫁-春闘幕開け - ブルームバーグ

2024年の春闘が事実上スタートした。経団連が24日開催した「労使フォーラム」では、物価高を念頭に昨年を上回る賃上げの実現を目指す声が相次いだが、国全体として賃金を底上げするには大企業のみならず、価格転嫁に苦しむ中小・小規模企業で賃上げが進むかどうかが注目される。

  経団連の十倉雅和会長は、「今年は昨年以上の熱量と決意を持って物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務」とし、官民連携して賃金の引き上げに果敢に取り組むと強調。その上で、「中小企業における構造的賃上げに波及させることが不可欠」とし、実現に向けて価格転嫁へのネガティブな意識を社会全体で変える必要性を訴えた。

  政府はデフレからの完全脱却の最大の課題を「物価上昇を上回る賃上げ」と位置付け、企業の賃上げや価格転嫁を後押ししている。一方で、金融政策の正常化をうかがう日本銀行の植田和男総裁は23日の会見で、賃金と物価の好循環が強まり、物価2%達成に向けた確度が高まっていると指摘。今春闘での賃上げ動向が今後の政府・日銀の政策運営の鍵を握る。

  中小企業を含む約2000の労組が加盟するものづくり産業労働組合(JAM)の安河内賢弘会長は、「日本で価格転嫁が進んでいないのは世界の非常識」と指摘。バブル崩壊以降、中小企業の生産性は伸びているが、「それを打ち消すだけの価格転嫁力が下がっているためにもうかっていない」と語った。大手と中小企業の価格転嫁の差は広がっているという。

  日本最大の労働組合の全国組織である連合は今春闘の賃上げ目標を昨年の「5%程度」から「5%以上」に引き上げた。国内最大の産業別労働組合、UAゼンセンは昨年の「6%程度」から「6%基準」に明確化する方針を決定している。

  連合の芳野友子会長は、「労働組合のない全ての労働者の賃上げが実現できるかがポイント」とし、地方の中小・小規模事業者の賃上げ動向も注視している。

  同フォーラムで講演したBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、好業績や労働需給のひっ迫を背景に今春闘の賃上げ率は4%と、昨年の3.6%を上回るとの見通しを示した。日銀の低金利政策と政府の追加財政により「インフレはアップサイドにある」とし、「家計の実質購買力を上げるために賃上げが必要」と強調。日銀には柔軟な金融政策運営を求めた。  

  日本経済研究センターの集計によると、賃上げ率はエコノミスト36人の予想平均で3.85%となっている。 

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