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社説:政府の財政見通し 借金漬けへの危機感欠く - 毎日新聞

参院本会議で答弁に臨む岸田文雄首相(右)=国会内で2024年2月1日、竹内幹撮影 拡大
参院本会議で答弁に臨む岸田文雄首相(右)=国会内で2024年2月1日、竹内幹撮影

 巨額の借金を抱える深刻な事態への危機感を欠いている。

 内閣府が半年に1度の財政見通しを公表した。「基礎的財政収支」と呼ばれ、社会保障や公共事業など国と地方の政策に関わる毎年度の収支を示す指標だ。

 2023年度は赤字が30兆円に上るが、税収の増加などで急速に改善し、25年度には1兆円程度に縮小すると予測している。岸田文雄首相は「歳出改革の継続などで25年度黒字化の目標達成が視野に入る」と強調した。

 従来の政策を続ければ健全化が実現するかのような言いぶりだが、あまりに説得力に乏しい。

 まず疑問なのは、大盤振る舞いしてきた補正予算を今後は編成しない前提となっていることだ。

 アベノミクス以降、政府は、チェックが甘くなりがちな補正を利用してきた。首相も昨年秋、ばらまきとしか思えない経済対策を打ち出し、国債を大量発行した。

 首相肝煎りの防衛費と少子化対策の大幅増額も財源はあいまいだ。ほかの歳出抑制などで確保するというが、めどは立っていない。最終的に国債頼みに陥る恐れがある。物価高対策を理由にした所得減税も借金を膨らませる。

 税収の増加は高成長が続くことを前提にしているが、物価高が消費を圧迫している。政府に都合が良すぎる想定ではないか。

 早急に取り組まなければならないのは、野放図な歳出拡大に終止符を打つことだ。

 25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、医療や介護などの社会保障費が一段と膨らむと予想されている。借金漬けのままでは、超高齢社会を乗り切れない。

 能登半島地震のような大きな自然災害は今後も起こりうる。財政的な余力を確保する必要がある。

 国債の金利上昇も懸念される。日銀の超低金利政策に依存してきたが、大規模な金融緩和は近く修正されるとみられている。

 国と地方で積み上がった債務は1200兆円にも上る。国債の利払い費がかさむと、借金は雪ダルマ式に膨張しかねない。

 内閣支持率の回復を狙って、放漫財政を続けるのは許されない。健全化が遅れるほど、将来世代へのツケも大きくなる。立て直しの道筋を示すのは政治の責務だ。

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