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ECB8会合連続で利上げ決定 物価安定へ引き締め継続 - 日本経済新聞

【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は15日の理事会で、8会合連続の利上げを決めた。利上げ幅は前回5月と同じ0.25%とした。欧州経済は景気後退に転落しても、インフレ基調の高止まりが続く。物価の安定を優先し、少なくとも今夏までは利上げを検討する見込みだ。

ECBは主要政策金利を4.00%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を3.50%に引き上げる。中銀預金金利は2001年5〜8月以来とおよそ22年ぶりの高水準になる。量的緩和策(APP)で膨らんだ保有資産の圧縮に向けては、7月に再投資を終える方針を確認した。

22年7月の利上げ開始から政策金利は計4%引き上げることになり、ECBの創設から最速ペースで8会合連続の利上げを実施してきたのは前例がない。2000年代半ばといった過去の利上げ局面では政策金利を一時据え置くなど断続的な引き締めに動いた。

米連邦準備理事会(FRB)が14日に利上げを見送ったのに対し、ECBは当面、連続利上げを検討する。公表した声明文では「一部で緩和の兆しもあるものの、基調的な物価圧力を示す指標は依然として強い」と明記した。

一方、銀行が急激な利上げで融資基準の引き締めに動くなか「インフレ率はさらに低下すると予想される」とも説明。今後の利上げペースは「データ次第」で判断する方針を維持する。

5月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で6.1%上昇と、伸び率は22年10月につけた過去最高の10.6%から鈍化基調にある。ただ価格変動の大きい食品やエネルギーを除くと5.3%で過去最高にほぼ並ぶ水準だ。生活に欠かせない食品などに絞れば10カ月連続で2桁の高い伸びで、低所得層ほど負担感は強い。

今回の理事会では最新の経済・物価見通しもまとめた。インフレ率は23年が5.4%、24年は3.0%と想定した。25年は2.2%と従来から小幅な上振れを見込む。経済成長率は23年が0.9%、24年は1.5%とした。

ユーロ圏は1〜3月期まで2四半期連続のマイナス成長と、機械的に景気後退とみなすテクニカルリセッションに転落した。かねてECBの理事会内部では、景気後退が深刻なレベルに至らなければ、金融引き締めの継続を求める意見がある。物価上昇率が中期的に2%に戻るまで利上げを続ける構えで、景気より物価の安定を優先課題とする。

市場は次回7月会合での利上げ打ち止めを織り込んできたが、金融引き締めに積極的なタカ派メンバーは次々回9月の追加利上げも視野に入れ始めた。FRBが年内あと2回の利上げを示唆したことで、ECBの金融引き締めも長引くかが焦点になる。

ウクライナ危機に伴う急激なインフレが個人消費などの需要を冷やしてきた半面、ストライキを通じた賃上げ機運の高まりから物価が下がりにくくなる懸念は拭えない。インフレ基調が明確に鈍化に転じるかどうか、ECBは利上げ効果を慎重に見極める。

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