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満額回答相次ぐ大手の賃上げ、中小への波及狙う-8年ぶり政労使会議 - ブルームバーグ

2023年春闘の集中回答日を迎えた15日、政府は労働団体と経済界の代表らと意見交換する「政労使会議」を開いた。同会議の開催は2015年4月以来、8年ぶり。労働組合側の賃上げ要求に対して大手企業の満額回答が相次ぐ中、中小企業への波及を狙う。

  岸田文雄首相は同会議で、賃上げは政権が掲げる新しい資本主義の実現にとって最重要課題だと発言。賃上げの動きが中小企業や小規模事業者に広がるには取引適正化などが不可欠との意見を踏まえ、「政府として政策を総動員して環境整備に取り組む」との考えを表明した。

  「男女間賃金格差の是正や非正規労働者の方々の賃金引き上げは極めて重要」と述べるとともに、労働市場改革を通じて構造的な賃金の引き上げを目指すとも語った。

  同会議には、経済界から十倉雅和経団連会長や日本商工会議所の小林健会頭のほか、全国中小企業団体中央会の森洋会長や全国商工会連合会の森義久会長らが参加。労組からは連合の芳野友子会長と清水秀行事務局長が出席した。

  消費者物価の前年比上昇率が4%台と41年ぶりの高水準に達する中、春闘に向けて連合は5%程度の賃上げを求める方針を決定。岸田首相は「インフレ率を上回る賃上げ」を企業側に要請した。物価上昇を踏まえて労組側から高い水準の賃上げ要求が広がる中、連合によれば、1日時点の賃上げ率の 要求水準は平均4.49%と、1998年以来25年ぶりに4%を上回った。

  大企業は賃上げに前向きだ。トヨタ自動車とホンダは2月の時点で労組の要求通りの賃上げを決定。日産自動車も15日に満額回答を出した。パナソニックホールディングスや日立製作所、三菱電機など電機連合に加盟する主要12社もベア相当分として月額7000円の満額回答で、昨年の1500-3000円に比べ大幅増額となった。

  自動車や電機などの労働組合が加盟する金属労協の13時半時点の集計によると、43組合の平均賃上げ額は8407円と、比較可能な14年以降で過去最高。このうち電機連合12社の定期昇給込みの平均賃上げ率は4-5%となっている。

中小の価格転嫁後押し

  一方、中小企業を含む約2000の労組が加盟するものづくり産業労働組合(JAM)の平均賃上げ率は、オークマや島津製作所など主要12社で4.53%だが、104組合の集計分では3.41%となる。

  JAMの安河内賢弘会長は、「利益率の少ない中小企業では、しっかり価格転嫁を実現しないと賃上げは難しい」と述べ、価格転嫁の取り組みを後押しすると表明。500~1000円の低額回答を出した労組に対しては、「今春闘が次元の違う春闘と理解していない」とし、賃上げ額の上積み交渉に向けて支援する考えを示した。

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(岸田首相の発言を追加して更新しました)

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