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海外勢がYCC攻撃再開か、金利スワップの内外差拡大-日銀会合意識 - ブルームバーグ

植田和男新総裁の就任を9日に控え、海外投資家がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の再修正を迫ろうと日本銀行への攻撃を再開する兆しを見せている。

  固定金利と変動金利を交換する円金利スワップで、海外勢と国内勢の取り組みの違いを反映したJSCC-LCHスプレッドは6日時点で3.125ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と3月中旬以降の上昇基調が鮮明だ。

JSCCーLCHスプレッド

  日銀が3月10日の金融政策決定会合でYCCの再修正を見送ったほか、シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻をきっかけに米国や欧州で金融不安が高まり、一時は昨年12月のYCC修正前の水準へ急低下。その後中央銀行の積極対応で金融不安は薄れつつあり、今月下旬の日銀のイベントを前に海外勢が再始動したとの見方が市場で広がっている。

  野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは、金利スワップの動きについて「信用不安でいったん手じまったYCC修正トレードを復元する動きが見られる」とし、海外勢による政策修正を見込んだ「YCCアタック」の兆しと受け止める。

  SMBC日興証券の森田長太郎シニアフェローも4日に行われた10年国債の入札が低調だった点に触れ、「海外勢を中心に今月決定会合でのYCC修正の期待は一部残っていることも確かで、アタック再燃への警戒感も一部あるだろう」と指摘した。

  国際的な債券運用ファンドのRBCブルーベイ・アセット・マネジメントでは、3月末時点で日本国債の売りポジションを最大限まで増やしており、10年債利回りの適正水準は現在のYCC許容幅上限0.5%を大幅に上回る1.25%程度だとみている。

ブルーベイ、日銀のYCC放棄予想-日本国債ショート最大限に増やす

Bank of Japan Headquarters Ahead of Kuroda's Last Meeting

日銀本店と警備員

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

 

  JSCCーLCHスプレッドは、スワップ取引の決済で海外勢が主に利用する英国ロンドンの清算機関LCHクリアリングと国内勢中心の日本証券クリアリング機構(JSCC)が提示する10年物円スワップ金利の差だ。日本国内では銀行の実需取引が含まれる半面、ロンドンでは投機色が強く、海外勢の相場観がより反映されやすくなっている。

  野村証の中島氏は、YCCアタックの兆しが見え始めた背景には植田新体制となって初めて開かれる日銀の金融政策決定会合が27、28日に予定されるほか、金融不安の沈静化があると分析。また、海外金利の低下を受けて国内金利にも低下圧力が加わっている状況の方がYCC修正に動きやすいとの 思惑も考えられると言う。

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  これに対し、SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「10年金利が上限の0.5%から離れているなら市場機能の問題はない」と指摘。金利が落ち着いているからといって、これまで続けてきた政策を撤廃するのは都合が良過ぎるとし、4月のYCC修正や撤廃には懐疑的だ。

  野村証の中島氏も金融不安は完全に払拭されておらず、早期のYCC修正には否定的だが、日銀会合に向け海外勢のYCCアタックが盛り上がると予想。海外勢の攻撃に「便乗する国内投資家も出て自己実現的に相場が動くため、金利上昇方向に賭ける方が短期トレードとしては正しい」との見方を示している。

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