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米国クレジットカード延滞率12年ぶり高水準 金利高、堅調消費に影 - 日本経済新聞

【この記事のポイント】
・クレジットカードの延滞率、2011年以来の高水準に
・若年層を中心に、金利高と物価高が家計を圧迫
・個人消費が鈍れば企業業績などに影響が広がる

【ニューヨーク=佐藤璃子】堅調とされる米国の個人消費に変調の兆しが出てきた。7〜9月にクレジットカードの支払いができずに延滞した割合は8.01%と、2011年以来12年ぶりの高水準となった。若年層を中心に長引く物価高・金利高による家計負担が大きくなっているためだ。米国の国内総生産(GDP)の7割を占める消費が鈍れば企業業績や金融政策などに影響が広がりかねない。

カード債務も急増、160兆円に

ニューヨーク(NY)連銀が7日発表した。この延滞率はクレジットカード債務残高のうち、7〜9月に新たに30日以上の滞納に陥った残高の割合を示している。より深刻な90日以上の新規延滞の割合も5.78%と、ほぼ12年ぶりの高さになった。

クレジットカードは米国のキャッシュレス決済のうち、デビットカードに次いで支払い回数が多い。

内訳をみると、18〜29歳、30〜39歳の若年層で90日以上の深刻な延滞が急増した。NY連銀は「多額の学生ローンや自動車ローンを抱えており、より滞納に陥りやすい」と分析している。若年層は持ち家の割合が低いため、賃貸物件の家賃高騰がさらに家計を圧迫している面もある。

融資を受けるカードローンの高金利化も影響している恐れがある。米連邦準備理事会(FRB)によると、8月時点でカードローン金利は年率21.19%と過去最高になっている。金利が高ければ当然返済は滞りやすい。

米国ではコロナ下で積み上がった過剰貯蓄をもとにリベンジ消費が過熱し、堅調な個人消費を支えてきた。足元では若年層を中心に貯蓄が減っており、後払いできるカード消費を増やしているとみられる。7〜9月の米国全体のカード債務残高は1兆790億ドル(約160兆円)と、03年以降で過去最大を更新した。

米国の消費全体は堅調さが続いている。米小売売上高は9月まで6カ月連続で前月を上回った。想定以上の伸びを示した7〜9月期の実質GDP成長率も、けん引したのは個人消費の強さだ。カードの延滞率が10%を超えていた08年の金融危機後の水準にはまだ遠く、危機的な水準ではないとの声もある。

節約志向、年末商戦に影

ただ、警戒は強まっている。米クレジットカード大手、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズのジョン・グリーン最高財務責任者(CFO)は「労働市場が比較的堅調な一方、コロナ下での余剰貯蓄の減少や債務の増加が消費者にとって逆風になっている。とくに信用力の低い層で負担が増えている」と分析。「カードの滞納と焦げ付きは24年半ばから後半にかけてピークを迎える」と見込む。

富裕層の顧客が多いアメリカン・エキスプレス(アメックス)は、滞納や焦げ付きが増加するとみて、7〜9月期に貸倒引当金と、融資が焦げ付いた時点で計上する償却費を合計した不良債権処理費用(信用コスト)を12億3300万ドルと前年同期から6割増やしている。

延滞が加速すれば消費への影響は避けられない。消費者の間ではすでに節約志向が広がっており、全米小売業協会(NRF)が2日発表した最新の米年末商戦の販売予想は前年比3〜4%増で、伸び率は19年以来4年ぶりの低水準となる見込みだ。大手小売りのターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)も「裁量消費財のみならず、食料品でも買い控えが広がっている」と指摘する。

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