Search

相続税が課税されるか確認しよう 親の財産を把握した次にやること - 日本経済新聞

親の財産を承継するに当たって誰もが気になるのが相続税だろう。親の財産について一通りヒアリングができたら、現時点で相続税がかかるのかどうかをざっくり確認しておこう。

相続税を算出するベースとなるのが、下の「課税される相続財産」。非課税となる相続財産を除外し、プラスの財産からマイナスの財産を差し引く。ここで気を付けたいのが、Bの「みなし相続財産」とCの「特定の贈与財産」だ。

みなし相続財産に要注意

みなし相続財産とは、民法(相続法)上は相続財産ではなく遺産分割の対象にならないが、経済的な価値があるため、相続税を計算する際にはカウントする必要がある財産のことを言う。故人の死亡退職金や生命保険の死亡保険金がこれに該当する。ただし、死亡退職金や死亡保険金は相続人の生活を保障するものでもあるので全額が課税対象にはならず、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が設けられている。

特定の贈与財産は、「相続時精算課税制度」などを利用し、故人から生前贈与された財産を指す。贈与税の非課税枠(年110万円)を利用した暦年贈与も、相続開始前3年(来年からは段階的に7年に拡大)以内の贈与財産は相続財産に持ち戻される。

課税対象となる相続財産が出たら、いよいよ相続税の計算だ。相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があり、上掲の数式で算出した相続財産から基礎控除を引いた額が課税の対象(課税遺産総額)となる。

概算額が基礎控除の範囲内であれば課税されない。実際には相続財産が基礎控除以下というケースが多く、相続税を負担しているのは亡くなった人の10%未満に過ぎない。

相続税の計算方法は複雑なので、下に課税対象となる「相続財産の概算額(基礎控除を差し引く前)」と「相続人となる子供の数」でおよその相続税額が分かる早見表を掲載した。親の相続税を把握する際の参考にしてほしい。

早めの確認が肝心

ファイナンシャルプランナーの山田静江さんは、早めに相続税がかかるかどうかを確認することが重要だと話す。「相続税は亡くなってから10カ月で申告と納付を済ませる必要がある。親が死亡した後のスタートでは、遺産分割の話し合いや財産の処分が間に合わないこともある。存命中に相続税の確認をしておけば、余裕を持って納税資金の準備や節税策ができる」

とはいえ、山田さんは過度の節税策には懐疑的だという。相続でもめるのはほとんどが遺産分割の部分。相続税を負担することになっても、家族が納得できる分割をすることが大切だ」と続ける。

山田静江さん
ファイナンシャルプランナー(CFP)、終活アドバイザー。銀行、会計事務所、独立系FP会社勤務を経て2001年に独立。様々な世代のライフプランニングに関するセミナーや執筆・監修、相談業務を行う一方、事務所のある埼玉県草加市近隣で高齢者支援業務も手掛ける。終活の専門家集団「NPO法人ら・し・さ」副理事長。

(ライター 森田聡子)

[日経マネー2023年9月号の記事を再構成]

【連載「相続プランニング最新マニュアル」記事一覧】

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細
https://ift.tt/QynWPXg
ビジネス

Bagikan Berita Ini

0 Response to "相続税が課税されるか確認しよう 親の財産を把握した次にやること - 日本経済新聞"

コメントを投稿

Powered by Blogger.