画像提供, Tom Williams
カリブ海の島国バハマの司法当局は12日、11月に経営破綻した暗号資産（仮想通貨）の大手交換業者FTXの共同創業者、サム・バンクマン＝フリード容疑者を逮捕したと発表した。
バハマ警察は、アメリカの連邦検察が同氏を起訴したとの正式な通知を受け、米政府の要請をもとに逮捕に踏み切ったという。
業界2位のFTXは1日当たり100億ドル規模の仮想通貨を取引していたが、11月に経営破綻。多くのユーザーが資産を引き出せなくなった。
米ニューヨーク州南部地区の連邦検察はツイッターで、「本日夕方、バハマ当局は米政府の要請により、SDNY（ニューヨーク南部地区）が提出した封印の起訴状に基づき、サミュエル・バンクマン＝フリードを逮捕した。我々は、午前中に起訴状を公開する予定で、その時にさらに説明する」と述べた。
その後、バハマの司法長官事務所も、王立バハマ警察がバンクマン＝フリード容疑者を逮捕したと発表した。
米証券取引委員会（SEC）はこの逮捕を受けて、「サム・バンクマン＝フリード容疑者を連邦用違反で逮捕するため取り組んできた、提携捜査機関をたたえたい」とコメントした。SECは独自に、容疑者を証券取引法違反の疑いで、SDNYに訴える方針という。
バンクマン＝フリード容疑者はここ数週間、数々の取材に応じ、FTXの経営に間違いがあったと認めていた。一方、違法行為があったとの批判からは距離を置いていた。
11月末に米紙ニューヨーク・タイムズのイベントに登壇した際には、「詐欺を働こうとしたことはない」と語っていた。
FTXは11月11日に米連邦破産法11条（日本の民事再生法に相当）の適用を申請した。これに先立ち、顧客は3日前から計60億ドルを引き出していた。また、競合バイナンスも救済措置に合意しなかった。
バンクマン＝フリード容疑者は破産申請に伴い、FTXの最高経営責任者（CEO）を辞任している。
11月の裁判資料によると、上位債権者50人に対する債務は約31億ドル（約4400億円）に上る。
世界第2位の暗号資産交換業者の経営破綻は、すでに問題が生じている仮想通貨市場の信頼を揺るがすこととなった。
ビットコインは今年に入って価値が60％下落。その他の仮想通貨も軒並み下がっている。
バンクマン＝フリード容疑者はかつて、アメリカの伝説的な投資家ウォーレン・バフェット氏と比べられることもあった。今年10月の資産総額は150億ドルを超えていた。
米政界では大口献金者としても有名で、パンデミック防止対策や暗号資産規制の改善を支援しているとされた。
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