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日経平均700円超す下落、円相場は底堅い:識者はこうみる - ロイター (Reuters Japan)

[東京 19日 ロイター] - 19日の東京市場で日経平均は一時700円超下落した。一方、為替は円安基調が一服し、円が底堅く推移している。市場関係者の見方は以下の通り。

19日の東京市場で日経平均は一時700円超下落した。一方、為替は円安基調が一服し、円が底堅く推移している。写真は2018年10月、東京証券取引所で撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)

●スタグフレーションを警戒、FOMCまで不安定

<ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏>

企業業績への不安や住宅市場の減速が懸念されて米国株が大幅安となっており、日本株にも逆風だ。

米市場では、インフレ高進と、それを抑制しようとする米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが景気後退を招きかねないとして、スタグフレーションへの警戒感が強まった。前の日には堅調な米小売売上高を経て景気の腰折れ懸念が和らいで株高となったが、投資家の見方はその後24時間足らずで、売り上げが伸びても企業の収益は伸びないとの方向に揺り戻した格好だ。

少なくとも6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは、相場は不安定になるだろう。目先では、来週発表される4月の米PCEコアデフレーターや、その先の5月米雇用統計でインフレ動向を確認することになる。強い結果となれば、市場の警戒感は強まりかねない。

米物価は昨年の4―6月期に急上昇した。今年4月の物価統計は、発射台が上がっているため落ち着きを取り戻すかもしれない。ただ、FRBは容易には金融引き締めの手を緩めないだろう。3カ月程度は物価動向を見極めようとするのではないか。

日経平均は短期的に2万6000円を割り込むような展開もあり得る。戻りを試す場面があったとしても、2万7000円では上値が重くなりそうだ。

●当面の日本株は底堅さを試す展開に

<岡地証券 投資情報室長 森裕恭氏>

小売り決算の悪化で米国では足元の景気が悪化するとの見方が広がり、ハードランディングが警戒されるようになった。円安で好調な輸出関連企業の決算が下支えとなり日本株は戻りを鮮明にしていたものの、ロックダウンで停滞しそうな中国に加え、対米輸出の落ち込みが懸念され、日経平均は再び下値を探ることになるだろう。

ただ、中長期の上昇過程において、日本株は米株との比較で大量に買われていたわけではない。急速に進んだ円安を背景に、キトーのように海外からのTOBが今後も増えるとみられるほか、インバウンドの再開期待、需給面では自社株買いの活発化など日本株の買い材料は多数ある。

直近の株価動向をみても、米主要株価指数が年初来安値を更新中であるのに対し日経平均はねばりを示す格好となっており、今後も相対的に緩やかな下げになるとともに底堅さを試す展開になるのではないか。

●初動は円買い、本格的なリスク回避到来でドル高に

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

前日のダウ平均株価の大幅な下落は、小売業の決算が悪化するなど、インフレ高進が実業に悪影響を及ぼしたことが背景だ。インフレ抑制に向けて、米連邦準備理事会(FRB)はさらなる積極的な金融引き締めを米政権や国民から迫られる。

インフレ抑制のためには金融引き締めを続けていかなければならず、その代償として、景気減速や株安をもたらす。リスク回避の動きが強まり、初動として円買いは入るものの、トレンドになるとは考えにくい。

2020年2月の米国市場では、株や債券などの金融資産が売られ、現金化の動きからドルを買う動きが強まった。その時の株式市場の下げは30%を超えていたが、足元のS&Pやダウ平均株価の下げはそこまでの調整が入っていない。これらの株価がさらに下落し、リスク回避の動きが本格化すれば、現金化の動きが強まり、ドルが買われる。ドル/円は130円に乗せ、再び上値を試す展開になる。

イエレン米財務長官のドル高に関する発言については、現状のドル高に対しての認識、これまでの米国の為替に対するスタンスを示しただけで、意味があるものではない。

●これまでの「スピード違反」を調整、今後は米経済次第

<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

足元のドル/円は円安基調が一服しているが、調整局面にある米長期金利や株価の調整と同様に、短期的にドル買い/円売りの巻き戻しが起きているとみている。

ドルは3―4月にかけ16円以上上昇した。近年のドル/円相場は動かないことで有名で、1年かけても10円動かない年もあった。それが2カ月でこれほどの円安が進むというのは、さすがにスピード違反な面もある。テクニカル的にみても調整が必要なタイミングだったところに米景気の減速懸念が意識され、ドル/円の自律反落を促すきっかけになった。

今後のドル/円は、引き続き米国の経済と株式市場の動向次第だ。米経済がすぐに腰折れしなければ短期金利の上昇が見込まれ、日米の金利差拡大の方向感は変わらないだろう。これからはひとつひとつの米経済指標を確認しながら市場も判断していくことになり、米経済の腰折れ懸念が払拭されればドルは再び130円を超えていく方向に戻るのではないか。

ただ、米経済がソフトランディングするという前提が崩れれば、今の水準をピークにドル/円は円高局面に入る可能性が高い。

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