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政投銀社長が「投資会社」への変貌を表明-1000億円の新規投資実行へ - ブルームバーグ

日本政策投資銀行は、投資事業の強化に乗り出す。企業の新規事業創出を支援するための資金として、新たに1000億円を投じる。地下誠二社長はブルームバーグとのインタビューで、「長期ローンを提供する金融機関から、投資会社に切り替えたい」と抱負を述べた。

     6月29日に就任した地下社長は、新規投資先として新事業や新技術を手掛ける企業やベンチャーキャピタル(VC)を想定していると明らかにした。2008年の株式会社化以降、投融資一体型のビジネスモデルを模索してきたが、「新規事業創出を後押しする投資はポートフォリオ的には一番薄いと認識しており強化したい」と語った。

     政投銀の22年3月末の投融資残高の内訳は、融資が約14兆5000億円で、投資は約1兆7000億円にとどまる。メザニンローン(劣後ローンや優先株などのシニアローンと普通株の中間)は約8000億円。

    地下社長は投資事業について、「これまでは投資残高を積むことに注力し一定の成果は出ている」と評価。その上で、長期ローンの提供者が新規業務として投資にも力を入れるという従来の位置付けから、今後は「主従を逆転させ、投資会社が必要に応じてローンを出すという組織に切り替えたい」と述べた。

リスクマネー

    投資ポートフォリオの質向上も目指す。株式を取得して企業の経営リスクを取る投資は現在約2000億円にとどまるが、新規事業創出の投資と合わせて増額する。全体の約8割を占める不動産やインフラ向けなどのアセット型投資は5割程度に減らす一方、ここから上がる収益でリスクバッファーを確保しながら企業投資の余地を広げる考えだ。

   昨年発表した 中期経営計画の中で、5年間で5兆5000億円の投融資を掲げた再生可能エネルギーや脱炭素へのトランジション・ファイナンス(移行金融)などの分野でも「投資」の割合を増やす。地下社長は「半分くらいはエクイティーでの供給を目指すぐらいの意気込みで取り組みたい」と語った。

     リスクバッファーとなる普通株等Tier1(中核的自己資本)比率は3月末の連結で約17%あるが、投資拡大に伴い14%程度まで低下していくとの見通しも示した。「14%を維持していきたいが、危機対応融資が剥落すると自己資本に余裕が出てくるので、その分をリスクマネーに振り向けていく」と話した。

野望

  リスクマネーの供給主体として、政投銀は本体とは別に2兆1000億円の運用資産残高を持ち、不動産やプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドなどのオルタナティブ(代替)投資を行う DBJアセットマネジメントを子会社に抱える。政投銀の自己勘定による拠出は自己資本の範囲内に収める必要があるため、供給増には2社が「両輪」の役割を担っている。

  地下社長によれば、当初はDBJアセットでも資金を集め、欧米のPEファンドにも伍(ご)する投資を行うという構想もあった。ただ、日本の機関投資家は上場株や上場債券以外に投資する態勢が整っておらず、資金が集まりにくいとしている。

  現状について地下社長は「悔しいが、自己勘定だけでは、例えば買収資金のエクイティーをポンと3000億円出すというのはハードルが高い」と指摘。「今はリアリティーには乏しいが、いずれはDBJアセットがそういう買収資金も出せるようになれればという思いを個人的には持っている」と語った。

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日本政策投資銀行

Photographer: Haruyoshi Yamaguchi/Bloomberg News

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