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東京電力ホールディングス(HD)は19日、電力小売りと契約を結べない企業向けの電気料金を3割引き上げると発表した。燃料高で契約先の新電力が倒産するなどし、行き場をなくした「電力難民」は全国で3万5000社。セーフティーネットの料金が通常料金より割安になるという逆転した状態を解消する。
電力小売りと契約できない企業に電気を届ける「最終保障供給」の料金を引き上げる。本来、最終保障供給は一時的に電力を供給する仕組み。料金は大手電力が企業向け標準料金の1.2倍程度に固定していた。ところが、燃料高によるコスト増で電力小売会社が顧客に提案できる通常契約の電気料金が上がり、最終保障供給の料金の方が相対的に安くなる逆転現象が起きていた。
大手電力各社は8月に約款の見直しを経済産業省に届け出て、9月からは市場価格を随時反映させることができるようになった。新料金では通常契約より割安にならないようにする。
東電HD傘下の送配電会社、東京電力パワーグリッド(PG)では9月分料金から中小規模の事務所では従来の70万円程度から93万円程度になる。関西電力や中部電力、四国電力も19日、9月から最終保障供給の料金を引き上げると発表した。
最終保障供給を受ける企業は1年前と比べ80倍に増えた。燃料高などで調達コストが増し、新電力の撤退などが相次いだことが背景にある。大手電力9社が法人契約切り替えの受け付けを止めたことも響いた。
大手電力では契約の受け付けを再開する動きもあり、電力難民が急増した事態は正常化に向かう見通しだ。燃料高で通常契約の電気料金の値上げは続いている。価格のゆがみを正しつつ、安定供給につなげたり、電力会社の競争を促したりする施策も引き続き求められることになる。
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