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ゴーンは向こう側についた…統合に反発、渡った危ない橋 - 朝日新聞デジタル

拡大する写真・図版日産自動車で専務執行役員を務めた川口均(左端)=東京都港区

日産クーデターの真相:2

 日産自動車専務執行役員の川口均は、役員食堂で監査役の今津英敏から悩みを打ち明けられた。日産が設立したベンチャーキャピタルのジーア社について「日産が投資資金を拠出したはずなのに、調査してもその活動状況がわからない」というのだ。2017年暮れか18年初めのことだった。

 川口は1976年に入社後、主に海外部門を歩み、人事担当を経て、このころは日本の省庁などとの渉外や広報を担当していた。欧州勤務が長く、英国工場に勤めた今津とは古い付き合いだった。四つ先輩の今津を「日産のものづくりを代弁する誠実な人」と尊敬していた。

 雑談を交わすうち、2人は問題意識を共有するようになった。今津はカルロス・ゴーンの家族の航空代金の請求をおかしく思っていたし、川口はゴーンがベルサイユ宮殿で開いたパーティーなどの開催費用をどう捻出したのか疑っていた。

防波堤役のゴーン 18年春の異変

 渉外担当の川口は14年以降、フランスの圧力から日産の独立を守ることが任務だった。フランスはこの年、フロランジュ法を定め、長期保有株主の議決権を2倍にした。フランスは政府が主な企業の株式を握る独特な経済体制をとる。同法は実質的には政府の議決権を2倍にして企業への政府介入を強める狙いがある。仏政府が15%の株を持つルノーへの影響力を強め、さらにはルノーが筆頭株主の日産にも介入しようとしていた。

 川口は仏政府の動きを「日産…

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